AI によって仕事がなくなるということの本質

昨今の AI の進化には目を見張るものがあります。個人的な感覚としては、いつの間にか、AI という言葉をよく聞くようになり、今では AI を使っているのが当たり前という印象です。

それと同時に、AI によって本当に仕事がなくなるかもしれないという不安の声もよく聞くようになりました。実際、私がいる、この Web制作業界 も大きく変革しようしています。今回は、AI と仕事について考察していきたいと思います。

「人」対「AI」ではない

AI によって確実になくなる仕事が出てきます。

水が川上から川下へと流れ逆行しないように、物事には方向性があります。不便なことは便利になります。複雑なものは簡潔になります。長時間かかっていたものは短時間で済むようになります。

AI はこの流れに逆行するものではないため、好むと好まざるとに関わらず、人の方が順応していく必要があります。

18世紀後半、イギリスで起こった第一次産業革命でも、仕事に大きな変革がありました。それまで、多人数の手作業で行っていたことが、機械によって自動化されました。結果として、労働者の仕事はなくなり、暴動が起こったとされています。

この暴動の本質は「人」対「機械」ではなく、「機械を持つ者」対「機械を持たざる者」という図式です。コストを下げたい経営者が、効率の良い機械を導入し、「機械を持つ者」と「機械を持たざる者」の二者が生まれたということです。

経営者であっても、機械を持てない者はコストが下げられず、機械によってコストを下げられたライバル企業には勝てなかったはずです。

それと同様に、「人」対「AI」も誤りで、「AI を使いこなす人」対「AI を使いこなせない人」という図式が正解だと思います。

第一次産業革命と第四次産業革命の違い

第一次産業革命は蒸気機関、第二次産業革命は電気、第三次産業革命は IT、そして、AI が台頭してきた現在は、第四次産業革命の最中とされているようです。

蒸気機関によって機械化された第一次産業革命と、現在の第四次産業革命には大きな違いがあります。それは、導入コストです。

蒸気機関で機械化できたのは、資本力のある経営者だけだったはずです。一方で、AI の導入コストは低く、個人でも月数千円程度から始められます。

つまり、「持たざる者」から「持つ者」に変わるハードルが低いため、問題となるのは AI が使いこなせるかどうか、その一点に集約されるということです。

AI を使いこなせない人の仕事がなくなる一方で、AI を使いこなせる人や、AI に置き換えにくい知識・技術を持つ人に仕事が集中するようになります。

AI と Web制作業界

Web制作業界 は AI との接点が多く、仕事がなくなるかもしれないという不安が強く浮き彫りになる業界だと思います。

実際、私にも危機感はありますが、絶望する程ではありません。なぜなら、これまでに得た知識・技術が簡単に AI に置き換えられると思えないからです。

ここ数カ月の AI の進化は速く、AI臭さ がない Webデザイン をするようになってきています。これは、Web制作 の知識が全くない人でも、AI によってキレイな Webサイト が作れるようになってきたということです。

一見すると、Web制作 の仕事がなくなってしまうかのように思えるかもしれませんが、そうはならない理由を言葉にすると次の一文に集約されます。

「知識・技術を持つ者と持たざる者の制作物が同じになるはずがない。」

AI は不可能を可能にします。しかし、コンテキスト (文脈) が異なれば、出来上がるものも異なります。何が必要でどうすべきかを「知っている人」と「知らない人」の差はとても大きいということです。

AI を使ったからといって、餅で餅屋に勝てる訳ではありません。餅っぽい何かで事足りる分野であれば、問題ないかもしれませんが、餅っぽい何かと本物の餅に大きな差が生じる分野においては、その仕事がなくなることはないでしょう。

Web制作業界 の進化も AI と同様に速く、常に最新情報を追いかけている人とそうでない人との差は大きく開きやすいです。餅っぽい何かで満足する人が増えるほど、本物の餅が作れる餅屋の価値が一層高まると考えています。

裏を返せば、本物の餅が作れない餅屋は淘汰されるということでもあります。

この先に起こること

第四次産業革命の最中か、第五次産業革命になるのか分かりませんが、「人」対「ロボット」が取り沙汰される未来がやがて来ると思います。

これも、「人」対「機械」「人」対「AI」と同様に本質ではなく、「ロボットを持つ者」対「ロボットを持たない者」という図式になると思います。AI は導入コストが少なく、個人でも導入できますが、ロボットの導入コストは高くなると予測でき「ロボットを持つ者」と「ロボットを持たない者」の明暗がはっきり分かれると思います。

AI は、高い専門性を有しないオフィスワーカーにとって代わりますが、ロボットは、ほぼすべての現場作業にとって代わると予想されます。急激にロボット化が進んだ場合、これまでの産業革命の比ではない変化が生じる可能性があります。

この先にあるのはユートピアかディストピアか。

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